欧州連合(EU)の旗であるユーロの星の数
欧州連合(EU)の旗であるユーロの星の数についてのお話をしていきます。
まずはEU発祥のきっかけともなった“ザール地方”についてです。ヨーロッパ審議会の旗としては、1950年台初頭は参加15ヶ国に基づいて15の星がついていたといわれています。ところがドイツが15の星に反対していました。その星のひとつがフランスと帰属問題を争っているザール地方を表していたからなのです。一方、フランスも星を14にすることはザール地方がドイツに帰属すると国際的に認められることになってしまうので反対でしたが、13という数字も迷信があり採用するわけには行かず、12が政治的な問題もなく良い数とされ、1955年に12個の星となって現在の欧州連合のシンボルマークとなったのです。
ザール地方は炭田のある鉱業地帯です。欧州石炭鉄鋼共同体がEUの発祥のきっかけですが、この地域もまさに独仏戦争の歴史に絡んだ典型的な地域で、1920年から1935年までの15年間、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約に基づいて工業地帯のザール地域とその炭田を国際連盟が管理した地域となりました。現在のドイツのザールラント州に相当し、当時の人口は約80万人。当時の国際連盟では、この地域を管理するために委員会を設けてその委員長が地域を代表し、委員会は5人で構成され、少なくともフランス人とザール人が1人ずつ入ることとし、ある意味一つの独立国家の様に独自の通貨や切手を発行していました。
15年間の期限に、ザール地方の帰属を決定する住民投票が行われ、いったんドイツに復帰します。1933年にドイツにナチス党政権が成立すると、多くの反ナチス派のドイツ人がナチスの影響下から逃れるためにザールに逃げこんだこともあって、ナチス政権が続く限り、ザールの国際連盟管理の続行を求める活動もあったそうです。第二次世界大戦後、ザールは戦前の1920年から1935年に存在した国際連盟管理地域の扱いと同様にドイツ本国から分離され、フランスの保護領になりました。フランス当局はドイツからの分離を固定化するためにドイツ政党支持を禁止、1952年12月の総選挙では有権者の約4分の1はドイツ政党支持のために白票を投じたものの、圧倒的多数が親フランス政党を支持しているという結果が出ていたそうです。
これを受けて1954年10月パリ協定で、フランスは西欧同盟の支援の下でザールを独立させようとしましたが、その1年後の1955年の住民投票の結果は予想外に西ドイツへの復帰を選択、翌年には隣国ルクセンブルグ、仏独首脳会合にてザール帰属問題は解決します。
色々な意味で欧州は複雑な経緯をたどりながら今日に至っているのですね。
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